【相続問題・社会的孤独】ドラマ『プライベートバンカー』最終話を現役PBが徹底解説!富裕層特有の苦悩とは?

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現実のPBがドラマ「プライベートバンカー」を考察してみた【最終話】

こんにちは!WealthLeadの濱島です。3か月にわたって放送された「プライベートバンカー」も、いよいよ最終回、このネタでブログを上げるのも最後となりました。
今回は「富裕層特有の苦悩」についてお話していきます。大富豪一族の資産をめぐる家族間の対立や資産管理、そして富裕層特有のプレッシャーや孤独、さらに事業オーナーとしての悩み。こうしたテーマを、ドラマの内容と絡めて分かりやすく解説していきます。

1. 家族間の対立と相続問題

まず一つ目は家族間の対立、特に遺産相続をめぐる問題です。ドラマでも、当主の座や財産を巡って天宮寺一族が骨肉の争いを繰り広げました。これは現実の富裕層の家庭でも起こり得ることです。
実際、経済的に恵まれた家庭では、財産の使い道や分配を巡って親子や兄弟姉妹が対立することもしばしばあります。多額の遺産があるばかりに、相続の段階で「争族」などと揶揄される深刻な争いに発展するケースも珍しくありません。
後継者問題も大きなテーマです。誰が家業や資産を継ぐのか決まらない場合、家庭内で派閥争いが生じたり、適任者不在で財産が宙に浮いてしまうことがあります。富裕層の中には、子供に跡を継がせるべきか、それともプロの経営者に任せるべきか悩むオーナーも多いです。最終回で、社長の丈洋は思い切って一族を相続から外し、財団化するという極端な手段に出ました。
現実でも、円満に事業や財産を次世代に引き継ぐために、信託の活用や生前贈与、あるいは慈善団体への寄付といった方法でトラブルを防ごうとする富裕層もいます。いずれにせよ、豊かな財産は一歩対応を誤ると家族の絆を引き裂きかねないため、慎重な話し合いや専門家の助言が欠かせません。

2.資産の維持とリスク管理

二つ目の苦悩は、資産の維持とリスク管理です。大きな資産があることは幸福な一方で、その資産を守ること自体が大変な仕事になります。
ドラマでは、内部の不正や外部からの圧力で会社が傾きかけ、一族の財産も危うくなるという危機が描かれました。現実でも、富裕層は、資産を巡る様々なリスクに常に晒されています。
例えば、詐欺のリスク。富裕層は詐欺師にとって格好のターゲットです。多額の資産を持っていると、ただでさえ、様々な人が近づいてきます。中でも、詐欺師は、巧みな言葉で近づいて財産を狙ってきます。
実際に、日本でも荒唐無稽な投資話で多額のお金を騙し取られる事件が起きています。たとえば「M資金詐欺」と呼ばれる古典的な手口では、ある外食産業グループの会長が31億円以上もの大金を騙し取られた例もあるほどです。
また、経済情勢や税制の変化も資産家にとってリスクです。富裕層は、株式や不動産を中心に多様な資産運用を行っています。近年では、暗号資産に代表される、新しい時代のデジタル資産も登場していますので、常に経済情勢の変化を把握しておく必要があります。また、一方、日本の場合は、各種の税率が高く、「いかに税引き後の手取り額を増やすか」に大変苦労します。
さらに政治的な影響も無視できません。増税や規制強化といった政策変更によって資産の価値が目減りしたり、海外に資産を持つ人は政情不安や法制度の違いによるリスクにも備えねばなりません。
こうしたリスクに対処するため、税や法律の専門家やプライベートバンカーを雇い、資産を守ろうとします。それでも、常に最新の情報にアンテナを張り、自らも勉強し続ける姿勢が求められます。多額の資産を持つ富裕層だからこそ、守るべきものも多く、心労も大きくなるのが現実と言えるでしょう。

3. 社会的なプレッシャーと孤独

三つ目のポイントは、社会的なプレッシャーとそこから生じる孤独感です。お金持ちというと周囲から羨ましがられる存在ですが、当の本人たちは人知れず孤独を感じている場合もあります。その大きな原因が人間関係と信頼の問題です。
富裕層は人と付き合う際に「この人は自分自身を見てくれているのか、それとも財産目当てで近づいているのか?」という疑念を抱きがちです。さきほども述べましたが、富裕層にはお金目当ての人が寄ってきやすいです。そのため、誰を信頼すべきか判断が難しいですし、友人関係でも恋愛でも、財産抜きに自分と向き合ってくれる相手を見つけるのは簡単ではありません。
その結果、心を許せる人が周りにおらず「富裕層ほど孤独だ」などと言われることもあります。
さらに、社会からの期待やプレッシャーも富裕層を悩ませます。「お金があるのだから世の中に還元すべきだ」という周囲の目やプレッシャーを感じている富裕層も多いです。本人にその気がなくても、大きな災害や募金キャンペーンのたびに寄付を求められたり、高額納税者であれば社会に貢献して当たり前という風潮もあります。
「富の偏在」が議論になる中で、批判の的にされることもあり、富裕層であるがゆえの肩身の狭さを感じる局面もあるでしょう。実際、裕福な人の中には自分の富に後ろめたさを感じ、「社会に返さねば」という強い責任感や義務感に駆られる人もいるといいます。
ドラマの丈洋も最終的に公益財団法人を設立し、私財を社会に役立てる道を選びました。これは一族の遺産争いを防ぐ策でもありましたが、同時に彼なりの社会貢献でもあります。現実の富裕層でも、ビル・ゲイツやバフェットのように資産の大半を慈善事業に寄付するケースや、日本の実業家が文化・教育分野に多額の寄付を行うなど、社会的責任を果たそうとする動きは増えています。一方で「そうしなければ批判される」という風潮自体がプレッシャーになるのです。
常に人目を気にし、本音を打ち明けられる相手も少ない生活は、ある意味で孤独との戦いとも言えるでしょう。

4. 事業オーナーとしての悩み

最後に四つ目の苦悩は、事業オーナーとしての悩みです。富裕層の中にはビジネスを一代で築き上げた起業家や、先祖代々の家業を引き継いだオーナー経営者が少なくありません。彼らが日々抱えるプレッシャーは計り知れないものがあります。
例えば、会社を存続・発展させる責任です。オーナー経営者にとって、会社は単なる資産ではなく、自らの人生をかけた子供のような存在であり、社員や取引先など多くの人の生活の基盤でもあります。「会社を潰すわけにはいかない」という重圧は常に付きまといます。松下幸之助さん(パナソニック創業者)はかつて部下に対し、「もし事業が失敗すれば、社員たちは明日から路頭に迷うことになる。それを考えたら絶対に失敗はできないのだ」と述べています。従業員の生活を守ることが経営者の基本的な責任だ、とまで言われるゆえんです。富裕層オーナーは自分だけでなく、多くの従業員とその家族の人生を背負っているため、その責任の重さに精神的な負荷を感じることも多いでしょう。
また、時代の変化への適応も大きな課題です。ビジネスの世界は日進月歩で、技術革新や市場の変化が激しい時代です。創業時に成功したビジネスモデルも、数十年経てば通用しなくなることがあります。老舗企業でも時代に合わせて変革できなければ衰退しかねません。オーナー経営者は常に先を読み、新しい戦略への舵切りや大胆な投資判断を迫られます。しかし、変革にはリスクが伴い、失敗すれば自分の資産だけでなく社員の将来も危うくなるため、プレッシャーは計り知れません。
そして、事業承継(後継者問題)がオーナー経営者の大きな悩みになります。会社を誰に継がせるのか。適切な後継者がいればよいのですが、必ずしも子供が有能とは限りませんし、子供が継ぎたがらない場合もあります。
日本では、中小企業経営者の高齢化が進み、70歳を超える経営者の約半数が後継者未定です。これは、日本全体の企業の3割以上が将来の事業承継に課題を抱えていることを意味します。後継者が決まらなければ会社は存続できず、せっかく築いた財産も散逸してしまうかもしれません。
ドラマではオーナーである丈洋が、血縁ではない有能な人物(久美子)に後を託す決断をしましたが、現実でも事業承継に悩んだ末に、第三者への経営委譲やM&Aを選ぶオーナーも増えています。いずれにせよ、事業オーナーである富裕層には「会社をどう次世代につなぐか」という最後の大仕事が待ち受けており、それが大きなプレッシャーとなっているのです。

4. まとめ

以上、ドラマ『プライベートバンカー』の最終回を題材に、富裕層特有の苦悩について4つの視点から考えてみました。家族、資産、社会との関係、そして事業運営と承継――お金持ちにはお金持ちなりの悩みがあり、決して楽なことばかりではないとお分かりいただけたでしょうか。
もちろん恵まれた立場であることは間違いありませんが、その陰には我々が普段経験しないような苦労も存在しています。 皆さんはもし大富豪になれるとしたら、今日お話ししたような苦悩も引き受ける覚悟はありますか? 富裕層の悩みについて、あるいはドラマの感想など、ぜひ身近な方とお話してみてはいかがでしょうか。

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